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このコラムは、仕事をするということ⑤ 失敗の原因となる6つの要素とそれを防ぐ準備についての続きです。
今回は、障害のある方・ない方問わず悩みや関心があると思われる、コミュニケーションということについて、考えてみたいと思います。
改めて考える、”コミュニケーション”とは?
よく、コミュニケーションが大事だと言われますが、そもそもコミュニケーションとは何でしょうか?
声を出せば、コミュニケーションでしょうか? 文字を描けばコミュニケーションでしょうか?
残念ながら、それだけではないようです。
例えば、山奥の誰もいない場所で大声で叫んでも、誰にも何も伝わりません。
ひょっとすると、熊や鹿が、その声に恐れをなして、近づいてこないという役割を果たしているかもしれませんが、人間同士のコミュニケーションではありません。
コミュニケーションは、伝える相手がいて、その相手に正確に伝わることが必要です。
ただ、それだけでは、十分とは言えないと思います。
コミュニケーションの目的は、相手に伝えることで、相手の行動を変えることです。
レストランでのどが渇いて、水が飲みたいときには、「水をください」とウエイトレスの方に言います。
すると、ウエイトレスの方は、コップに入った水を持ってきてくれます。
これは、コミュニケーションがとてもうまくいった例です。
「水を持ってきてほしい」という自分の意図がはっきりしていたのと、そのこと=水を持ってくることを相手に正確に伝えることができたからです。
また、伝える相手も、適切だったのだと思います。
同じことでも、隣のテーブルに座っている見ず知らずのお客さんに言っても、その人は水を持ってきてくれません。
むしろ、「何を言ってるんだ!」と怒られてしまうかもしれません。
コミュニケーションをうまく行うための3つの要素
こうしてみると、コミュニケーションをうまく行うためには、いくつかの必要条件が見えてきます。
・自分が何を望んでいるのか? 相手にどんな行動をとって欲しいのか? が、具体的になっていること
・行動を変えて欲しい相手が、明らかなこと
・その相手に伝える方法が適切なこと
この三点が、コミュニケーションをうまく行うために必要です。
こうして書いてみると、当たり前のことで、取るに足らないように思えますが、これが意外と難しいものです。
そもそも、自分が何に困っているのかとか、何を望んでいるのかとか、自分の気持ち、考えが曖昧なことはよくあります。
みなさんも、友達から相談されたのはいいけれども、結局、何をして欲しいのかが良くわからなくて、ただただ、「うん、うん」と聞いているだけだった経験があるのではありませんか。
そういう時はおおかた、話を聞いてもらうだけで満足という、別の意味のコミュニケーションだったのだと思いますが。
ただ、仕事の中ではこのようなことはありません。
相手は自分に対して何らかの行動をとって欲しいと思っているはずですし、こちらも相手に何らかの行動をとって欲しいと思っています。
ですから、コミュニケーションの結果、相手もしくは自分の行動が変わらなければいけません。
職場でのコミュニケーションでは、常に相手の行動を変えるために、明確な意図と適切な手段(常に言葉とは限りません。絵かもしれません。数字かもしれません。音もあります。)で、適切な相手に伝えることが必要です。
みなさんも今後、「言ってもやってくれないな」と思った時には、上の三つの何かが適切ではなかったのではと、自分のコミュニケーションの方法を見直してみてください。
障害のある方の就職サポートをしている就労移行支援事業所では、あなたのコミュニケーションの取り方の傾向について専門スタッフが一緒に考えてくれます。
自分ではなかなか客観的に見れないものなので、就労移行支援のサービスを利用すると、良い解決策が見つかるかもしれません。